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はじめに

登場人物および地名

序章 イリアステームの杖

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第一章 少年戦士

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(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

第二章 空中庭園

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(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

(16)(17)(18)      

第三章 邪悪なるもの

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(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

(16)                 

第四章 七惑星の巫女

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(7)(8)(9)(10)(11)
(12)(13)(14)(15)

(16)(17)(18)(19)

(20)(21)           

終章 記憶の底

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(7)(8)(9)(10)(11)

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おわりに
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小説「七惑星の記憶」

 

おわりに

 

 

 “イリアステームの杖”にまつわる物語はここまでである。

 ここから先、彼らが何を成し、世の中がどのように変化したかは、想像するしかない。

 封じられていた記憶が何者かの妄想でなければ、シャマシュによって文明発展の礎が築かれ、イナンナによって魔法文明の源泉である星の掛け合わせの術が再び世に広まったという事になる。暗黒の時代はこの後200年を経て、文明の時代に移るのである。

 しかし、これまでにないほどに栄える現代の魔法の文明は、テームの休眠と共に始まった事を我々は心に留めておくべきであろう。

 テームは滅びたわけではない。まだこの世のどこかに存在し、我々を監視しているのだ。

 

 ただその事が、なぜ今になって発現されたのであろうか。なぜ、今の世に知らしめる必要があったのであろうか。

 その鍵は20年前、私を魔人の洞窟に導いたエルフのガイアが握っている。

 私は、序章における冒険で解放したエルフの魂は、アルカリンクウェルのものであったと考えている。

 解放された魂は1100年の時を経て、アルカリンクウェルの肉体に還ったであろうか。ネルガルによって彼女の遺体が“空中庭園”に運ばれていれば復活が成されていたかもしれないが、今はそれを知る術は無い。

 なぜなら、私をあの冒険に導いたガイアはあの後から姿を見せておらず、“イリアステームの杖”には、“空中庭園”への道は記憶されていないからだ。

 なぜ、ガイアは私をあの洞窟に導いたのか。

 “イリアステームの杖”に記憶されていたアルカリンクウェルの髪の色、目の色、その容貌は、ガイアと瓜二つだった。

 私は、ガイアこそが“杖”にその名も記憶されていないマルドックの妻であり、アルカリンクウェルの母であったと考えている。彼女は娘であるアルカリンクウェルの魂を解放するという目的を達し、姿を消したのだ。

 そうであれば、ガイアは1100年前、“空中庭園”を訪れたネルガルと邂逅していた可能性がある。ガイアはアルカリンクウェルの魂のある場所に、“イリアステームの杖”が封印されている事を知っていたのだ。

 そう考えれば、今の時代に“イリアステームの杖”がもたらされた理由も想像できる。

 ネルガルは、魔法文明が成熟した時代にテームの存在を知らせ、警鐘を鳴らしたかったのだ。

 

 テームが再臨するか否かは、これからの人間の文明がどんな方向に進むかに懸かっている。

 私はその事について、希望はあるとみている。なぜなら、我々の中にはディンギルの意思を引き継いだ、魔法民族の記憶が根付いていると感じるからだ。

 人間がまだ文明を持たない野獣だった頃、自分の命は何よりも大事だっただろう。

 エンリルをはじめとする、魔法民族の血を引くものは、獣の本能に反した行動を取っていた。

 つまり、<邪悪なるもの>を滅ぼす為、自分の命をも投げ出したのである。

 これは、おそらくディンギルがルヒューと共に魔法民族の祖先に与えた意思の力だろう。

 しかしよく考えてみて欲しい。現代の人間も時として自らの信条を護る為や他人を助ける為に命を投げ出す事がある。

 心の底にある信念の為に命さえも懸ける事が出来る強い意志を持つ人間は、魔法民族の血を引く者ではないだろうか。

 私は、そう思う。

 

Salvador