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はじめに

登場人物および地名

序章 イリアステームの杖

(1)(2)

第一章 少年戦士

(1)(2)(3)(4)(5)(6)

(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)
第二章 空中庭園

(1)(2)(3)(4)(5)(6)

(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

(16)(17)(18)      

第三章 邪悪なるもの

(1)(2)(3)(4)(5)(6)

(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

(16)                 

第四章 七惑星の巫女

(1)(2)(3)(4)(5)(6)
(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

(16)(17)(18)(19)

(20)(21)           

終章 記憶の底

(1)(2)(3)(4)(5)(6)

(7)(8)(9)(10)(11)

(12)(13)(14)(15)

おわりに

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小説「七惑星の記憶」

 

第一章 少年戦士

 

(14)

 

 遠い爆発音と地響きでラフムが目覚めたのは未明の事だった。地震とは少し違う感覚だったが、前日の疲れで身体は覚醒せず、再び眠りの世界に入っていった。

 

「ラフム!ラフム!起きて!」

次にラフムが目覚めたときには部屋は明るくなっていた。

「緊急招集だってさ!はやく行かないと!」

 緊急招集とは、町やギルドにとって重大な問題が発生し、当直の10人のサーバントでは対処できない場合に、ギルドが町に滞在するサーバントを強制的に動員する事である。怪我や疾患が無い限り緊急招集を拒否できない掟となっていた。

 どのようにして緊急招集が発令、伝令されるのかはよく知らされていなかったが、ラハムによると宿の主人が連絡してきたという。賞金稼ぎは宿場街に滞在している事が多い為、おそらく連絡網があるのだろう。

「集合場所は前の広場だってさ!」

ラハムはすでに支度を始めていた。昨晩はよく眠れたようだ。

 ラフムは嫌な予感がした。

 未明の地響きは夢ではない。しかも、ただの地震ではない、どこか人工的な感じがした。この緊急招集と関係がありそうである。

 ラフムは急いで革の防具を装着し、剣を掴んでラハムと共に部屋を出た。

 宿から出ると煙の臭いがした。ラフムはその臭いの中に、卵が腐ったような異臭が含まれているのを感じた。

 宿に程近い集合場所には、すでに30人近くの賞金稼ぎ達が集まっていた。

 サーバントのリーダー格の男がメモ用紙を見ながら、メンバーに指示を与えているようだった。ラフムとラハムも指示を受けにそのリーダーの下へ進んだ。

 リーダーによる説明は以下のものだった。

 商人街で未明から火災が発生している。火災は爆発を伴い、今も危険な状態である。原因は不明だが、人為的なものが関係している可能性がある為、ギルドは消火活動と共に調査の為の現場保存を行う必要があると判断している。

 ラフムは「やっぱり・・・」と呟いた。未明の地響きはこれだったのだ。

 ラフムとラハムに当てられた仕事は火災に集まってくる野次馬の整理だった。サーバントのリーダーは、この仕事は事態が終息するまで4、5日はかかるから覚悟しておくように、と付け加えた。

「では、出発するぞ!」

リーダーの号令で、広場の賞金稼ぎ達は商人街へ小走りで進み始めた。もともと一匹狼が多い賞金稼ぎの集まりである為、その行進には軍隊のような整然さはかけらもない。

 煙の臭いと硫黄臭はだんだんと強くなっていき、ラハムは目や鼻に痛みを感じた。準備の良い一部の賞金稼ぎは持っていた布を顔に巻いている。

 

 商人街に出ると、その臭いの正体が姿を現した。

 黒煙が空に向かってもうもうと立ち上っていたのだ。

 空に伸びる巨大な樹木にも似た黒煙の根元には、ヘリルの大天幕があった。

 消火活動に当たる数人の姿が見えたが、天幕は今もメラメラと燃え上がっており、消火は難航しているようだった。また、サーバントのリーダーが言うように周辺にはその何倍もの野次馬が遠巻きに集まっており、混乱に拍車をかけているようだ。

 突然、ラフムは胸の苦しみを覚えた。動悸が激しくなり、その場にしゃがみ込んだ。胃液が喉元に逆流し嘔吐した。

「ラフム!どうしたの!」異変に気付いたラハムが近寄ってきた。ラフムには近くにいるはずのラハムの声が遠くに聞こえた。

「おい!何をしている!」二人の様子を見た、青銅の鎧に身を包んだサーバントの声がさらに遠くから聞こえた。

「だらしのない奴だ。後から来い。」青銅の鎧の男はリーダーに手振りで二人の様子を伝えてから、他のメンバーと共に現場に進んで行った。

 ラハムはラフムの背中に触れた。ラフムの身体はがたがたと震え、冷たい汗が流れていた。ラフムが小声で何か言っていたので、ラハムは耳を近づけた。

「僕・・・怖いよ・・・」

「何が?どうして?」

「僕、今度の戦いで、死ぬかもしれない・・・。」

 

 

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